自動火災報知設備とは、自動的に火災を感知して知らせてくれる設備です。自動火災報知設備は、特定防火対象物なら延べ面積300㎡以上、非特定防火対象物なら延べ面積500㎡以上で設置対象となります。特定防火対象物とは、火災が発生した時に大きな被害が出ると考えられる場所のうち、政令で定められた最も消防用設備や防火設備の設置基準が厳しいところを指します。自動火災報知設備は、天井に付いている感知器や廊下などにある赤い丸型のボタン式の発信機が構成部品になります。これが設置されていると、設置されていない建物よりも火災時の死亡率が下がるという統計も出ています。
自動火災報知設備には受信機と呼ばれる本体があり、そこから各部屋の感知器や廊下の発信機、表示灯、非常ベルなどに繋がっています。自動火災報知設備の作動は、部屋などに設置されている感知器が熱・煙などを感知するとその信号を受信機が受信し、蓄積状態になります。その状態が10~50秒程度続くと、火災と判断して非常ベルが鳴ります。受信機が火災の信号を受信しても蓄積状態になってすぐに作動しないのは誤作動を少なくするためで、発信機を押した場合はすぐに作動します。最近の老人ホームなどでは、自動火災報知設備と119番通報装置が連動していて、自動火災報知設備が作動すると自動的に119番に通報されるようになっています。一般的な防火対象物の場合は、自動通報はされません。
写真のように表示灯とベル、発信機が付いている箱を総合盤といいます。ご覧になったことがある方も多いでしょう。中には、避難訓練などでボタンを押した経験がある人もおられるかと思います。このボタンを押すとすぐに非常ベルが鳴り響きます。もちろん、人間がボタンを押した場合は誤作動を考える必要がないので蓄積状態にはなりません。また、この発信機は消火栓の起動ボタンと兼用になっている場合も多いので、不用意に押したりしないようにしてください。